今回は、1700年代に流行ったであろう髪型を見ていきたいと思います!
下の絵は1700年代初頭〜中期の作品になります。
遊女の髪型を見てみると、「垂髪」や「勝山髷」、「笄髷」などが主流になっていますね。
遊女には、『禿(かむろ)』と呼ばれる遊女見習いの少女が何人か付きます。
身の回りの世話だったり、まあお手伝いさんみたいなものですね。
たくさん従えていればいるほど売れっ子の証でした!
禿さん姫カットですね!
琴の練習でしょうか。やはりこの時代も教養のある女性は売れっ子でありモテます!
はい!ここで何か髪型で気になる事はありませんでしたか?
えぇ。そうなんです!
ココなんですよ!
この分け目?筋?的なこれは一体なんなんだろうか!?
この時代に描かれた遊女の絵画にとても多いんですよね〜。
おそらくこの時代に流行ったスタイル(おしゃれ)である事は間違いないんでしょうが、なんなのかちょっとわからないですね…
現状考えれ得るいくつかの考察をあげておきます。
1、髪型を強調させるための作画技法
2、オシャレでラインを入れている。
信長もやってた例のアレ。
3、白髪を上手に残している。
近藤サトさん
いや、いやさすがに白髪を活かすのは、難易度が高すぎるな…
4、ハイライトをしている。(カラーをしている。)
筋のハイライト!当時からギャル文化は存在した説。
いや〜…ほんと謎です。個人的には何かしらの着色または、染めているんじゃないかな〜と思うんですけどね〜。
筋の部分も各々、不規則に入っているため、何かしらの無作為の感覚的な造形を思わせますしね。
ん〜。まだ証拠不十分なので、この問題は分かり次第追記してまいります。
他には、こんな素敵な絵もたくさんあります。
宮川一笑 吉原風俗図
なんだか江戸の雰囲気伝わってきますね。
1700年代は戦もないし、ほんと平和だったんだろうな〜。
もはや過去の歴史上、現代も含めて一番平和な100年だったでしょうね!
2000年代も人々の争わないそんな100年にしたいですね。
そろそろ、みなさんが一番気になってるこの部分の解説していきます!
髱(たぼ)の部分ですね!
前にも紹介しましたが、
パーツごとの名称
なぜにこんなにもニョキッと出ているのか!?
1600年代後半からこのスタイルが見られ始めて1700年代後半まで流行っていました。
ほとんどの遊女はこのスタイル一択ですね。
はい…もちろん僕には1ミリも作れる気がしませんが、一度は生きているうちに一度は…作ってみたい。
ということで、何故にあんなにも重力に逆らっているかと言いますと、『髱差し(たぼさし)』という道具を使っています。
えぇ。忍具ではございません。全くもってどう使うのかも想像がつきませんが、これを髱の中で固定して作っていたようです。
そもそも最初は、髱の部分が垂れているだけのスタイルでしたが、髪につけている油の影響で着物が汚れてしまうというところから考案されたようです。
そうですよね。大事な着物ですし襟の部分がベタベタになったらそりゃあ嫌ですよ!
初期はこんな感じ
ちなみに先ほどのスタイルの名前は「鴎髱(かもめづと)」という名前です。そのままですね!鴎の翼のような髱ということですね。
ほんとこの時代の髪結い師さん達のレベルが高すぎて、わけわかんないです。技術力もそうだし発想、デザイン力すべてにおいて凄すぎです!
なんかカッコイイのかどうかも判断がすごく難しいですが、とにかく斬新です。
江戸時代の髪結い師>>>>>>>>>>>>>>>>>>現代の美容師(僕だけ)
久々にこの構図ぅぅ!
他にはこんな髪型もされていました。
懐月堂安度 遊女立美人図
普通は、髪の毛を根元から結ぶものですが、逆に毛先だけグルグルに結ぶのもカッコイイですね!なんか妖艶な感じでてすごくいいです!
そしてこちらのスタイルが、「根下り兵庫」というスタイルです。
前回ご紹介した、兵庫髷の進化系になりますね。高めに作られていた兵庫髷から下の方に作られています。このスタイルも中期頃に流行りました。
そしてついに!1700年代後期になると「灯籠鬢(とうろうびん)」こと、よくある江戸時代のイメージするこの髪型が登場します!
勝川春章 美人鑑賞図
いや〜カッコイイですね!美しい!
灯籠鬢アップで見てみましょう。
勝川春章 美人按文図
中期まで主流だった「髱(たぼ)」は見る影もなくなり、シュッとしましたね!
それとは別に「鬢(びん)」の部分が、ガッとせりだしてきましたね!
髷(まげ)の部分もより綺麗に高さが出たような気がします。
笄(こうがい)や櫛などの飾りも増えて、よりゴージャスな雰囲気が演出されていますね!シルエット的にも、とてもバランスの良いひし形ですので、印象も抜群に良いです!
こちらのスタイルは京で人気が出て江戸へと広まったようですね。
マイナーチェンジは多少ありますが、このまま当分はこの型ですので、やはり京都のファッションというのは洗練されていますね!
ということで、1700年代は本当に目まぐるしく、髪型の変化がありましたね!
紹介しきれないほどの、微妙に違うスタイルが山ほどあります。
まあ、大きく分けると今回ご紹介したスタイルをしていた人が多いように感じますね。
ここから1800年代に突入し、今じゃ考えられないような、イカついスタイルがたくさん登場していきます。
しかし、本当に美しいんですよ。
日本の『美』が、とことん追求した結果が、そこには確かにあった気がします。
でも、1700年代前半に流行っていたメッシュのようなハイライトをしている人が、後期には誰もいなくなってしまうのは本当に不思議です。
あれは一体なんなのか…研究は続きます。