世界の髪型美術館〜髪型の歴史〜

いままで語られてこなかった日本史と世界史の『髪型』を徹底的に解説、考察していきます!

室町、安土桃山時代 1

室町時代安土桃山時代南北朝時代、戦国時代)は、1333年~1603年まで270年間続いた時代になっていますが、この辺の時代は、たくさんの「説」がありすぎて、時代の区切りがとても難しいので、足利尊氏らが開いた室町幕府から徳川家康が江戸時代を開くまでの270年間を一つの括りとして解説していきます。

 

〇〇の乱がとにかく多い、荒れに荒れた激動の「戦国時代」。

改めて、この時代の髪型を研究してみて、本当に驚きました。

これまでにあまり語られず、表舞台に出てこなかった髪型が、こんなにたくさんあったなんて…

この辺の時代になってくると、たくさんの資料があります。

面白い髪型、不思議な髪型…変な髪型している人がたくさん出てきます!

文化や思想が多様化してきた変革の時に、人々の表現は明らかに変わりました。

『髪型が示す意味』を皆さんに感じていただければ幸いです。

絵画や資料も多いので、この室町、安土桃山時代編は各分野ごとに分けてお伝えしていきます。

 

とりあえず、ざっと室町時代のおさらいと髪型の説明をしていきます。

この時代は、足利尊氏により始まり、3代将軍足利義満によって南北朝が統一され武家が優位という形でとりあえずは、安定したそうです。いや〜、天皇家のいざこざの戦いは長かった…

義満の死後、応仁の乱一揆など混沌としはじめます。やはり圧倒的リーダーを失うとこうも簡単に崩れてしまうのが儚いですね…

その後、織田信長ら戦国武将達による群雄割拠の時代へと突入していくんですね〜!

そして、豊臣秀吉が天下統一し関ヶ原の戦いへと続いていきます。

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だいぶざっくりしていますが、内容が濃すぎて説明しきれません!本当にすごい時代背景ですね。

 

社会的な部分では、貿易も盛んに行われるようになり、農業や工業等の技術力があがり生産量も圧倒的に増えたそうです。

1549年ヨーロッパよりフランシスコザビエルらによってイエズス会キリスト教が伝えられ、圧倒的広がりを見せました。

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仏教は、武家にも広がりを見せ、宗派間での衝突や合併をするなど随分ゴタゴタしたようですね。果ては宗教間での争いもあったそうです。

 

世界中では、海賊ブームが到来し、大航海時代へと突入したそうです。アジア近郊では、「倭寇」が幅を利かせていたみたいですね!(完全にONE PIECEの世界ですね!モデルとなってるのもこの時代だそうです。)

 

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倭寇

 

この時代にされていた髪型は、

男性は鎌倉時代からちらほら見られ始めていた、烏帽子などをほぼ被らなくなりました。

この時代の肖像画によくみられる「茶筅髷(ちゃせんまげ)」や束ねて折りまげるスタイルの「折り髷(おりまげ)」が多く見受けられるようになりました。

 

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茶筅髷(ちゃせんまげ)結った髷の先っぽがお茶をたてるときに使われる茶筅のようだからだそうです。

 

f:id:camdentown2012:20190525105405j:plain織田信長

f:id:camdentown2012:20190525125429j:plain浅井長政

チョリッとしてる感じですね。
概ね、武将の方は折髷にされる方が多かったようですね。戦国という時代も相まってか、髪型は自由にしてる人が多いですね!以前の時代の様に髻(もとどり)にしなければカッコ悪い!みたいな価値観はだいぶ無くなりました!

柴田勝家のようにわざと?ボサボサにしたオールバック風スタイルの絵も多くあります。

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柴田勝家(絶世の美女、お市の方の旦那さん) 

 

女性は、この頃からついに、ついに!「結い髪」が登場し始めます。

初期の頃は、垂髪などの流行もまだ残っていますが、徐々に「束ね」から「束結び」なども流行り始めます。

f:id:camdentown2012:20190526092156j:plainお市の方、平安風の垂髪ですね。

f:id:camdentown2012:20190526092233j:plain束結び

 

室町時代後期~安土桃山時代ぐらいから「結い髪」が登場し、「唐輪髷(からわまげ)」など、結い髪のバリエーションもどんどん増えてくる時代に突入していきます。

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唐輪髷 

 

庶民の間では、現代の三角巾のような頭巾をかぶり、仕事や生活をしている様子が伺えます。庶民の間でも髪は長かったので、まとめて邪魔にならないようにしていたんでしょうね。

そんなん切ればいいじゃん!と思われるかもしれませんが、そうではありません!髪型があまりなかったこの時代に、髪を切るなんて事になれば女を捨てるぐらいの事。

髪は女の命なのです!!

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↑何かを被っているのか判断しかねますが、髪はすごく長そうですね。

七十一番職人歌合絵巻(室町時代中期に描かれた職業絵巻)

 

しかしこの時代も、夫に先立たれ出家した女性は短く切っていました。現代で言えばボブくらいでしょうかね!?

まあ、逆に若い女性は老けて見られないためにも、意地でも伸ばしてたかもしれませんね。

 

そして、最後はこちらの方!

朝日姫(秀吉の妹で徳川家康の奥様)

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以前ご紹介した、おすべらかしに似てますよね!もはや完全に「おすべらかし」の原型!

私の知識不足かもしれませんが、この形態になった初の絵画ではないでしょうか?

前髪、左右の鬢(びん)、襟足の髱(たぼ)のブロックに髪型に構成されています。

 

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現代の美容技術では当たり前の構成、考え方ですが、パーツごとに意識したスタイルとしてはここから始まったのではないのかなと思います。

垂髪のような、ボリュームのない女性的なスタイルから、ボリュームを出して華やかに見せたいという美的感覚に変わっていったのが、この作品から読み取れますね。

このボリュームのある髪型が、後の日本髪の「結う」スタイルへと変化していく大きなスタートだったのかもしれませんね。

朝日姫に関しては、襟足の毛が垂髪になっていますので、長さを出して女性らしさも残したいという、いいとこどりの欲張りハイブリットスタイルです!

前から見たらボリューム!後ろから見たらスーパーロングの美しさ!

この髪型をしている人は、後にも先にも朝日姫だけですので、とても貴重な絵画ですね!

いや~素晴らしい。後ろから見たら、どう見えるのかとても気になるところです!

 

室町、安土桃山時代のざっくりまとめでした!

次回は、細かい部分にスポットを当てて解説していきます!