世界の髪型美術館〜髪型の歴史〜

いままで語られてこなかった日本史と世界史の『髪型』を徹底的に解説、考察していきます!

鎌倉時代 2 武将の髪型と冠

今回は、鎌倉時代の武将達の髪型をより深く考察していきます。

 

一説によると、この頃から月代(さかやき)が始まったんじゃないかと言われていますが、まだまだこの時代には、月代の「さ」の字もなかったんじゃないかと思います。

そもそもハゲた頭を晒す事が自体が恥ずかしいから、みんな帽子を被っているという側面もありますし、それをわざわざ、自ら剃ってハゲて見せたいなんてありえません。

 

また月代に関しては詳しく書きますね!

 

この時代の、有名な武将達の髪型をかいつまんで見ていきたいと思います。

 

鎌倉時代の最強兄弟といえばこの人達!

源頼朝源義経!!

2枚の肖像画を見ていただければ一目瞭然ですが、お二人共、晩年は薄毛に悩まされていたようですね。絵だけを見ると義経の方が薄そうに見えますね。なけなしの髪を集めて一髻(ひとつもとどり)にしています。

 f:id:camdentown2012:20190517154423j:plain源 義経(牛若丸)

 

f:id:camdentown2012:20190519095936j:plain源 頼朝

 

※ちなみに肖像画は、死後描かれる事がほとんどです。早ければ1週間後〜1ヶ月後くらい、遅ければ1年後など様々ですので多少…いや、結構美化されている可能性大ですね。よくあるのが、そもそも実は違う人だった説も多々あるので、気持ち半分くらいで見てもらえればと思います。

 

お次は、鎌倉時代の英雄 

北条時宗

あの、最強軍団モンゴル帝国軍の奇襲をリーダーとして圧倒的戦略、武力で跳ね返しましたね。当時20歳だったそうです!スゴすぎ!

鎌倉時代は仏教が大衆化し大きく広まりました。幕府内でも天皇家内でも宗派や思想の違いで揉めたりと色々あったようです…

 しかし幕府のリーダーがここまで剃り上げるのは、珍しい気がします。熱心だったのでしょうね。

 

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 鎌倉時代に描かれた絵を見ていても、たくさんのお坊さんが登場します。

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それほど信仰が熱かったのかなと思います。この絵を見ても農民らしき人達も手を合わせていますので、救われたかったんだろうなぁ〜と想いを馳せてしまいますね。

戦乱の世の中ですもんね〜。大変でした。

 

最後はこの方!

鎌倉時代ロミオとジュリエットこと

ジュリエット北条政子

(20歳の時、周囲の反対を押し切って頼朝と結婚しました。)

 

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北条さんの肖像画って、なぜかないんですよねぇ〜…歴史の教科書もこの写真だった気がします。出家した後のこの木像しかないのは違和感しかないです。(僕が知らないだけかもしれませんが…)

ちなみに、この時代では珍く69歳でお亡くなりになられています。現代の感覚なら100歳くらいでしょうね!42歳で尼さんになられたようなので、おそらくそれ以降の木像なのでしょうね。

これだけの超有名人で、頼朝を生涯献身的に支え、亡き後もとてもがんばっていらっしゃったのに肖像画が一つもないなんて、もはや謎です。

頼朝が惚れただけあって昔は超絶美人だったはず!今後肖像画見つかるのに期待したいところですね!

 

先ほどの写真のお坊さんの部分をアップにしてみました。

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お坊さんの皆さん髪を剃っていますよね。よーく見ると、うっすら髪が生えているようにも見えます。(すごい短い坊主のような感じ)

一人一人の生え際や頭の形もみんな違うように描かれているのが、本当に素晴らしいですよね!当時の画家さんの熱いこだわりを感じます!

 

男性なら想像がつきやすいですが、髭を剃ったりするときに電気シェーバーだったりシャービングフォームをつけてT字カミソリで剃ったりするかと思うのですが、当時はもちろんそれらの物はありません。

 当時は、小さい小刀の様な物で剃ったりもしていたそうですが、多くの人は抜いていたそうです。(頭髪約10万本)

イィィィィーーー痛そぅぅぅ〜。髭よりも太く多い髪をやるんですから…

剃るにしても、水のみで濡らして剃っていたので、それはそれは痛かったでしょう…

みんな剃った後は血まみれだったそうです。怖い。怖過ぎる!!拷問以外の何物でもないですね…

北条政子さんもその拷問を経て出家したわけですから…強い女性でしたね…

 

本当に現代でよかったぁぁーーー!!

 

 

続いては、この時代に被っている冠、烏帽子(えぼし)の種類について軽くご紹介していきます。

 

前回もこの2枚の絵をご紹介しましたが、役職や地位によっても被っている物が違うのがわかります。

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3種類くらいの形状の違う烏帽子を被っているのがわかります。

右下の上級職っぽい武士は、ちょっと横に折れている「引立烏帽子」を被り、鉢巻きも巻いていますね。

左側の弓を持っている人達は、縦長の長めの烏帽子「立烏帽子」を被っています。

その他の武士達は、三角の「侍烏帽子」?らしきものを被っています。

f:id:camdentown2012:20190518130136j:plain侍烏帽子

 

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右側の着物を着ているお偉いさんらしき方は、冠を被っていますし、牛車を引いている武士達も侍烏帽子を被っている人達もいれば、被っていない人もいます。

牛車の後ろにいる武士は、長めの烏帽子(引立烏帽子)を被っています。

 

冠位のような役職による違いは、飛鳥時代から引き継いでいたんでしょうね〜。

 

なんだか鎌倉時代は、髪型の変化が徐々にではありますが「個性」が出てきた様な気がします。

この後の室町時代から、本格的に髪型が『おもしろく』なっていきます!!

その序章の種を植えた鎌倉時代

更なる激動の戦国が始まります…